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2020-05-16

グアテマラ出張写真〜2019年その1〜

2019年の6月。
中米のグアテマラで開催されたコーヒーの国際品評会「Cup of Excellence(通称COE)」に国際審査員として参加してきました。

この出張記録では当店でも販売しているCOE入賞コーヒーのもととなる国際品評会COEの様子や、グアテマラの農園訪問や街並みの様子などを綴っていきます。

グアテマラへは日本からアメリカのヒューストンを経由して、フライト時間は約17時間。
成田空港や、ヒューストンでも効率的なトランジットができたとしてもなんだかんだで移動時間は24時間になりますね。

グアテマラシティの玄関口、オーロラ空港へ到着しました。

翌日から品評会は開催され会場はAnacafe、通称「グアテマラコーヒー協会」の本部施設にて行われました。

毎年、約10の生産国で開催されるCOEは、品評会全体の運営を管理する団体のACEと開催国でのコーディネートを行う現地での団体(今回の場合はAnacafe)との協力体制で行われます。
約5日間の審査会の期間はずっとこことホテルとの往復です。

到着の翌日から早速審査会の日程が始まるわけですが、まずはAnacafeのプレゼンテーションによるグアテマラのコーヒー農業の概要理解から始まっていきます。

プレゼンテーションではグアテマラコーヒーの生産量から、輸出国の内訳などの統計情報ほかにも、Funcafeと呼ばれる生産者や期間労働者の子供たちを貧困や学習機会の喪失から守るための新しい取り組みの紹介もされました。

最近ではこういった取り組みが世界の様々な生産国で始められています。

グアテマラのコーヒー農業の概要の後には、COEの概要説明や審査ルールなども毎回丁寧に行われます。
毎回、世界各地から様々な審査員が集まりますから、都度、ルールを共有して間違いのないように進めていきます。

私共がお客様にCOEを説明する際には「毎年、その国で一番美味しいコーヒーを決める品評会」とお伝えしています。

それも間違いではない本当のことですが、もう少し全体的な見方をすると、「美味しいコーヒーを決める会」を作ることで、これまで注目されてこなかった美味しいコーヒーの生産者や地域、またその人たちのコーヒーの作り方が注目されるようになります。
(作っている生産者本人たちは自分たちの作ったコーヒーの価値を評価するスキル、例えば焙煎やテイスティングの技術や設備を持っていないことがほとんど。)

そして、そこで入賞したコーヒーは後に開催されるインターネットオークションにかけられ、従来の取り引き価格の数倍から数十倍の価格で落札されます。
(ACEの公式HPでも透明性を図るため、落札価格とACEの手数料、最終的な生産者への支払い価格まで一般公開されます。)

生産者はそうして得た対価を成功体験として翌年度の生産へのモチベーションにつなげたり、農園へ再投資したりして継続的な品質向上へ走り出します。

これらのことだけでも生産者にとって物凄く大きなメリットですが、それだけに終わらず、COEの入賞リストに掲載された生産者には品評会の後にも世界中のコーヒーバイヤーから翌年度以降の収穫についての引き合いが継続的に来るようになります。

生産者へ与えられる恩恵はとても大きい反面、そのハードルは非常に高く、数百のエントリーの中から国内審査会を経て、国際審査会ステージに残されるのは約50ロット。
国際審査会では、そこからさらに約30ロットまで絞り込んで入賞ロットを決定します。

審査会初日は以上のような座学によるプレゼンテーションやルールのすり合わせの他、実際にサンプルのコーヒーを審査しながら、世界中から集まった国際審査員の官能評価の基準を1日かけてすり合わせ(カリブレーション)していきます。

今年は紙のスコアシートに代わって、IPadのスコアシートアプリが導入され、それらの使い方もチェックしていきます。

つづく

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