コスタリカ出張写真〜2019年版その3〜エアロビコとアナエロビコ
コスタリカの終盤は農園巡りに。
一面に広がる深紅のコーヒーチェリー。
日本でよく見られる果物などの広告写真は当たり前のように完熟なので、こういった完熟の風景はある種見慣れた風景ですが、コーヒーの場合ではここまで統一した色味になるのは優秀なピッカーさんによる手摘みのおかげ。
(一般品質のコーヒーの乾燥場ではもっと黄色の熟していないコーヒーチェリーが混じっています。)
丁寧な収穫後にもまた一仕事。
均等に乾燥がすすむよう、日中は攪拌作業を繰り返します。
一つの乾燥棚を一通り撹拌したら、またお隣の乾燥棚へ。
私も少しチェリーを触らせてもらいましたが糖度が高いせいかネットリした表面。
そしてタネがしっかり詰まっているようなずっしりした感触でした。
それぞれの生産者たちにも暖かく迎えていただき、今年の状況や新しい取り組みについても教えてもらいました。
おもてなしで用意されたフルーツの数々。
その中でも今年の訪問で気になったのは「エアロビコ」と「アナエロビコ」。
両方とも最後に「ファーメンテーション」という言葉をつけるのが正式名称で、醗酵を活用したプロセスの名前です。
英語表記では「Aerobic」と「Anaerobic」。
日本語表記では「好気性」と「嫌気性」。
実はこのプロセス、2,3年くらい前から現地では見かけていました。
当時は様々なやり方でしたが、今年から方法論がブラッシュアップされたのか、やり方がまとまってきた様子も感じられました。
エアロビックファーメンテーションは好気性醗酵。
コーヒーチェリーやコーヒーのタネを2日間ほどミューシレージや水と共に浸け置いて醗酵。
1日過ぎたあたりからコーヒーからガスが発生してブクブクと泡立ってきます。
空気に触れていることで好気性醗酵となります。
アナエロビックファーメンテーションは嫌気性醗酵。
エアロビック同様にコーヒーチェリーや剥きたてのタネを浸け置くのですが、密閉タンクに逆止弁を取り付けて、中身が空気に触れないように醗酵させます。
「エアロビコ」と「アナエロビコ」の二つの違い。
最近のコーヒーのプロセスはワインの醸造プロセスからヒントを得ている節があり、ワインの世界での好気性醗酵と嫌気性醗酵では空気(酸素)の有無によって生きられる微生物や菌とそうでないものがあり、醗酵工程でのその違いが風味に影響してくるとか・・・。
実際のところは一緒に加える果汁や水の有無や、チェリーとタネのどちらの状態で漬けるのか、どの品種で行うのかなどによって最終的に出来上がってくるコーヒーの良し悪しに影響してくると思います。
また、生産者は醗酵中の気温や水温にもとても気を使っていました。
しかしながらこれまでの2,3年の間には、このプロセスによってとてもユニークなフレーバーのコーヒーに仕上がっていることもあったので今後も要注目のプロセスです。
※このプロセスが上手くいったコーヒーの中には、シナモンのようなフレーバーになったこともありました。
また来年の楽しみも残して、コスタリカの旅路を終えました。